プロの会議通訳者の一日

(ロールプレイング形式での上演が基本です)

1

・仕事は、仕事当日の前日からすでに始まっている。準備をすべて終え、仕事に必要なものはすべてを机の上に並べる。もし出張による仕事だとしたら、ホテルに着いたときに同僚たちと連絡を取り、会議に必要な資料を入手する。目覚まし時計を使う際には、ホテルのものに頼らず、自分の時計をもっていく。

・目を覚ましたら、ベッドの上でいちどだけ存分に伸びをして、シャワーに飛び込む。香水やアフターシェイヴなどきつい物を使わないこと。仕事場は小さなブースなのだから。朝食をとり、同僚たちと話しながら、最新情報を入手する

・会議に必要なものは忘れないこと――契約書、地図、メモ用紙、筆記用具、会議文書など。初めての場所だったら、十分に時間をとってホテルを出る。

・会議場に着く前に新聞を買う (またはホテルの部屋で朝のニュースをチェックする)。どのスピーカーが当日のニュースや朝刊の見出しに触れないとも限らない

・会場に着いたら、ブースを探し、同僚たちにあいさつをし、通訳機器のオペレーターの人たちにも自己紹介をする。

・同時通訳装置をチェックして、慣れること。マイクのon-offはどこか、cough buttonが機能しているか、リレーの場合にはどのボタンと、どのボタンを押すのかなど。そっとトイレに出るにはどの通路が良いかも確認しておくこと。

・さて、議長が第一声を発しら、集中、集中。そして単語ではなく意味全体に集中することを思い出して下さい。

・マイクをonにする前に、ひとつ深呼吸をすること。


2

・昼食時間。良い通訳をしてくれたブースの同僚に感謝の一言を。その相手が上手い訳をしてくれたお蔭で、自分の言語に訳せた事を忘れずに。仕事から離れ束の間の休憩をとること。リラックスの方法は人それぞれ、1人で過ごしても良し、皆と過ごしても良し。

・新鮮な空気をたっぷりとること。ブースに換気装置があったとしても、多少の運動のために、ちょっと散歩をしてみる。

・会議についての質問があれば、同僚に聞いて、はっきりさせておくこと。通訳とはチームワークである。e-mailもチェックしておくこと。


3

 ・午後の仕事が始まる。たっぷりと昼食をとった人たちを前にスピーチをする人に同情しなければ。スピーカーはこの時を「まるで墓場だ」と言っている

・耳を澄まし、集中し、頭を使って考え、その後で声を出す。話している間も、よく聴き、集中し、考える。知的にも楽な仕事はない。

・会議が終わる。

・後片付けをする。

・同僚たちに別れのあいさつをし、オペレーターにも「ありがとう」を言い、チーフにも感謝のことばを。自分に声をかけてくれたおかげでこの仕事を得たことを忘れてはいけない。

・気をつけて、我が家に帰る。

・しばらくは静かな時間を持ち、頭をほぐす。

・次の仕事に出かけるべく、再びパッキングをする時がくる。今度行くところは、暑いのか、あるいは寒いのか? 洗面用具を忘れないこと、そしてじぶんの目覚まし時計も忘れない事。

・電車や飛行機のチケットを再確認する。翌朝の空港タクシー、もしくは電車の時間も再確認する。

・会議用のファイルはちゃんと持ったかを確認する。様々な鍵、読みたい本、パソコン、ケイタイは持ったかチェック。
 自分の連絡先をちゃんと家族に知らせておくこと。


閉幕後

・それで、今日の会議の話題は何だったの?

・もちろん、これを話題にして雑談はできないことはご存じですよね。

・秘密の会議だったの?

・いや、招かれた人だけが来る、いわばプライベートな会議だったんです。話題になったのはあの人たちの問題で、われわれは関係ないから。

・で、出席していた人には誰がいた?

・さあ、そろそろ夕食の時間ではないんですかw










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AIIC. "プロの会議通訳者の一日". aiic.net September 5, 2016. Accessed November 14, 2018. <http://aiic.net/p/7742>.


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